忍者の修行

子ども達から「めんどくさい」「疲れた」という言葉をよく聞くことがある。中には塾やお稽古、学校、過密なスケジュールで本当に「疲れた」「めんどくさい」と言わずにいられない子もいる。面白がって言っている子、なんとなく言ってみたい子、様々である。
それで、ちょっと喝を入れてみようと、こんなことを考えてみた。喝は喝でも楽しくなきゃいけない。
「今日は忍者の修行の時間にします」
「修行って滝に打たれること?」
「そうそう、本物の忍者になリたい子は、途中めんどくさい、疲れたと言ってはいけないんだよ」
「ぼくはバッタ忍者がいいなぁ」とすかさずA君
「わたしはうさぎ忍者」「私はペンギン忍者」「ぼくは本物の忍者がいいなぁ」
子ども達の目が光る。もうすっかり忍者の気分だ。思わずやったねと密かににんまり。

「まず、クレパスで縦の線を引いてね、それから横の線を引いてね」
「その中に丸を塗ってね。出来あがったらえのぐを塗ってね」
子どもたちはひと言も発しない。パレットを洗いに行くのも、そろりそろり、まさに○○の術、歩く姿は忍者そのもの。
「早く出来た子は、静かに待つのが忍者の心得だよ」
いつも最もおしゃべりな一年生のB君、神妙な顔をして手を合わせて待っている。その姿がなんとも可愛らしい。 



「終わったら、次のステージ、果物を一個一個丁寧に描いてね。描き上げたらはさみで切って、修行をした画用紙に貼ってみよう」


三歳・C君
さすがに丸は全部出来なかったけれど果物がなんともいい!
 

四歳・D君
「お絵かきって楽しいね」とにっこり。

五歳・Eちゃん
うさぎ忍者になってピョンピョン。果物もうさぎのようにはずんでいます。 

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 一年A君
本物の忍者になりたくて、最後までひと言もしゃべらかった初めての一日でした

四年生のF君は横縦を緻密に描きすぎて、丸は鉛筆、で描いてもいいかと聞く。さすがに四年生ともなると、忍者の魔法はきかないらしく醒めた顔で書き続ける。最後に「つかれたなぁー」とひと言。





★忍者の修行が、粛粛と楽しく終わった一日でした!と同時に、本当に疲れている子のサイン、見逃してはいけない、そんなことを思います。