B君の看板作り

ある日、B君が大きな看板を持って現れた。その様子がおかしくて思わずクスリと笑った。お父さんの農園の看板を書きたいが、教室で描いていいかということだった。
なんでもお父さんは単身赴任で、赴任先で趣味で小さな農園をもっているという。
もちろんOK・OK。因みに看板は、二年前に拾ってきたものだという。
それからのB君の様子がなんとも真剣でほほえましく、あぁ、いいなぁと思いながら、我が教室歴9年になるB君の今までの様子が走馬灯のように頭に浮んで流れていった。
根は素直でやさしいが、表し方はやんちゃで照れ屋でちょっとへそ曲がり。入ってきた時は少々固まっていたが、低学年時は、面白いことを言ってみんなを笑わせ、調子づいて時には脱線。
3・4年生はまさに小学生の思春期とギャングエイジ、B 君もご他聞にもれずどことなく不安定で、自分でもわけのわからないものがこみ上げてくるようで、少々荒れ模様。
高学年になって今度は学校との軋轢にどうやらいまひとつうまくいかないらしく、教室に来る前に公園で遊んでから、全身泥だらけでやってくる。
5時はじまりだが、到着は決まって5時45分。時にはもう少し遅い到着。毎回次回の到着時間を約束することにした。そのうち自分で腰に大きな時計をぶら下げて、約束をきっちり守った。めいっぱい遊んできたからか、さっぱりした顔つきが、なんとも清々しく、短時間でもその日のテーマを生き生き、楽しく作り上げていった。
そんなB君も、今では中学2年生。このところ、油絵も上達してジャンプ!
農園看板が出来上がるのは、もう少しかかりそうだが、楽しみだ。
B君、がんばれ!!










農園にはスイカ・トマト・ニンジン等が植えられているという。
(油絵だから、雨の中でも平気!)