人と人がつながるって?

ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたでしょうか?
今回は本の紹介です。
絆、人と人のつながり、言葉だけが安易に独り歩きをしていると感じる事がよくある。
さて、そこでこんな人と人のつながり、あぁいいなぁと思えたお薦めの三冊!


いとうみく著・童心社刊・2012年

登場人物五年生の四人の少女と一人の少年。それぞれが人に見えない痛み、言えない悩み、プライド、いろいろな事情を抱えている。特別な事件が起こるわけではないが、高学年のどこにでもいそうな子達の心の動きが丁寧に書かれてあって、読者は、自分と重ねて読むかもしれない。
その中で、なんといっても何が起こっても最後にはめげない、媚びない、とぼけたユーモラスが一杯あるまっすぐな糸子と滝島君、二人の眼差しが他の子達を光らせていく。
そっか、こんな人と人のつながりもあるんだ。読後感がさわやか!




 大島真寿美著・ポプラ社刊・2011年
本編は作曲家ヴィヴァルディの訃報から始まる。生前、彼にかかわった人々のそれぞれの思いや物語がめくるめくように語られていく。一人の人間、ヴィヴァルディの多様で魅力的な姿。誰の中にでもある多様性、人は決して一面的ではない球体。そんなことにも気付かされる。また、彼とかかわった人たちが共に語り、新しいつながりを作っていく。
死は決して終わりではない。
ヴィヴァルディが人々に遺そうと意識したものではなく、遺していったものが、彼の代表作「四季」の旋律と共に静かに心に落ちていく。秀作!





 秋山りん著・角川学芸出版刊・2011年
(わたし)ノン子は元気、前向き、威勢がいい、ボランティアに精を出し、里親として犬まで育てようとする自分はゼッタイいいことをしていると自認している女の子、そのノン子の親友凛花不登校になった。何故?そして、育てようとした犬は外に関心も示さない閉じこもり、自分の思うようにならない駄目犬。凛花も犬もなんとかしたいと一生懸命になればなるほどノン子の思いは、凛花にも犬にも届かない。ある事件が起こって、ノン子も不登校になる。初めて自分に、孤独に向き合ったノン子。駄目犬だと思っていた犬がノン子を立ち直らせていく。
ノン子は初めて人の弱さ、いろいろな人がいて支えあって生きていることに目覚めていく。

メール・ツイッター・フエイスブック・いろいろあれど、人と人が肉声で対峙してつながっていく、やっぱりいいなって思う。是非、ご一読を!