無為な時間

もう今日はこれでいいでしょ。疲れた」と、油絵の子達が筆を置く。
終了時間までまだ30分はある。
さて、どうするか?
すると誰かが白い紙をちぎりだした。
つられて小学生たちもやりだす。
破った紙を頭にかぶったり、天井に向けて投げたり。
あっという間に教室は雪が降ったようになっていった。実に楽しそうだ。

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気分がさっぱりしたのか、隅にあったダンボールにMちゃんがリキテックスで色をぬりだす。
単純な作業がなんとも楽しそうだ。

                          小学生達は元の位置に戻って続きをやりだす。




Mちゃんを見て、油絵組みの二人の羨ましそうな顔。
「きみたちもやってみたい?」
「やりたーい」とのたもう。
壁に飾ってある、わくが木地のままのカガミをはずして、美しくぬるように頼んだ。
なんとなんと真剣で無心な姿。

あぁ、こういう単純作業、無心になれる時間。
現代を生きる子ども達は、お稽古、塾、部活等など日々かなりハードスケジュールだ。
外から入ってくる目まぐるしい情報も、いつの間にかキャッチされる。
それだけでも忙しい。大変だろうなぁと思う。
たまには、こんな一件無為なような単純な作業が、自分を無に返してほっと出来、 必要なのではなかろうか。
そんなことを、改めて強く感じたある日の一日だった。