もうかれこれ10年ほど前になるだろうか、お習字と全く無縁な私が、この硯に魅せられ、おまけに水滴まで買ってしまった。
そのままずっと教室の棚に日の目を見ないまま置きっぱなしになっていた。
ある日、Aちゃんが「私、お習字、おばさんに習ってるんだよ」と、スマホで撮った写真を見せてくれた。
「行雲流水」と書いてあった。自分で選んだ言葉だという。
なんて素敵な言葉!ものに執着せず流れのまま生きていく。
私は自分で買った眠ったままの硯を思い出し、おもむろに出してつい自慢してしまった。
墨を磨って描いてみたいとAちゃん(20歳過ぎ)がじっと硯を見つめる。
「描いてみたら」
「本当にいいの」
Aちゃんは、すらすらと独自の絵を墨で描き、顔彩で色をつけた。中々面白い。
暫くこのシリーズが続きそうだ。
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同じクラスにいる子達も墨を磨って書きたいという。
擦る音、墨の香り、しっとりとした時間が流れていく。
まだ途上だが、こんな絵が出来あがりつつある。
6年生・かき氷と朝顔。
5年生・紫陽花・中学1年生・建物
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墨汁と違って、濃淡が出てなんともいえない趣がある。
やっと日の目を見た硯、あの時買ってよかったとしみじみ思った。
こんな授業を少しずつ取り入れていくのもいいなぁと。
相変わらず寒暖の激しい日々です。
皆様体調に気をつけてお過ごしください!