信頼

本の紹介です。


他人から見たら劣悪な条件としがか思えない十歳の主人公のカミーロ。
父は、カミーロに自分でお金を稼いでお酒を買って来いと言う。
もうめちゃくちだ。
カミーロは考えた、
新しく出来た図書館の本を盗んでは、高く売りつけ、そのお金で父さんのお酒を買う。
こんな調子で話は始まるのだが、なんといっても図書館の司書、マールさんが素晴らしい。
考えようによってはとんでもないことをしてしまうのだが、子どもに対する信頼、本の力を信じている心意気が胸を打つ。
親友のアンドレスも、カミーロのしていることに問題ありと思いつつ、気持ちを寄り添わせていく。
最後のシーンに、どんなところにいても、信頼さえあれば生きられる、そんな希望すら感じた一冊。
鈴木出版・2011年刊












子どもは大人の背中を見て育つ、昔から言われている言葉だが、子どもに誇れる大人が今、どれだけいるだろうか。
人と違うことをしていると浮いてしまう。周囲の空気を読むことに必死な子ども達もいる。
学校、塾、ゲームと狭い世界で生きていくことを余儀なくされえいる子ども達もいる。
だが、子ども達は誇り高い。弱音を吐くこともなく頑張っている子達から、眼には見えにくいうめき声が聞こえてくることがある。
この本に出てくる祖父は、家族からは干物と邪険にされてるが、林業に対する微動だにしない姿勢と誠実さが胸を打つ。
そんな祖父の背中を見て育った孫の楓・喜樹の成長が清々しい。、
新日本出版社・2013年2月刊

















語りの女の子はアスペルガーと言われている。
自分を理解してくれていたお兄ちゃんが死んだ。
そこからこの子の自分探しが始まる。
人の言ってることがよくわからない。
自分の大好きなピンクのふわふわのフリースの中にもぐりこみたくなる。
たくさんの人が話し出すと、わけが分からなくなる。
支えてくれる先生や、年下の友達の出会いから、少しずつ人に対する共感や、人の立場にたって考えていく様子が丁寧に語られていく。
実際、現実はこの本のようにうまくはいかないことが多いが、あぁ、こんな繊細な気持ちなんだ、あぁ、そうかとうなずきながら読み、改めて大きなヒントをもらえた一冊。
明石書店・2013年・1月刊













         子どもに対する大きな信頼、物語の中からそんな力をもらったと同時に、あぁ、本ってやっぱりいいなぁと改めて思った。是非ご一読を!