漫画家志望のN君  

私の教室に小学校一年生から高校3年生まで通ってきていたN君という少年がいる。
漫画を描くのが大好き、中々のストーリテラーである。また物を作るのも大好き、こだわりやさんで職人気質、中学校から高校生の間は、こちらのテーマなどぶっ飛ばし、漫画を描いたり、工作用紙でアパートを作ったり。アパートは完成まで3ヶ月、いやもっとかかったかもしれない。まさにこつこつと我が道をいく少年だった。
そのN君が先日ひょっこり訪ねてきた。
現在、美術の専門学校2年生、学費以外のほとんどの生活費、例えばお弁当代交通費は、バイトでまかなっているという。そして将来は漫画家になりたいと、淡々とした調子で話して帰っていった。
みんなと一緒じゃなきゃ安心出来ないという風潮、空気を読めないと浮いてしまう等、現代の子達はなかなか大変といわれている中で、こんな奴もいる。きっと他にもたくさんいるのではと思う、中々いいじゃないか。ちょっと嬉しい思いで「頑張って」と久しぶりでやって来たN君を送り出した。 

N君のアパート作り・制作途中





完成前面・窓はスライド式になっていて開ける事が出来ます。
完成裏面、ちょっと古めかしい懐かしいようないい感じに出来上がりました。そういえば、当時同じクラスで油絵を描いていた女の子達が、「かっこいい、真ん中の部屋は私の。ソファーも作って」「左はわたしの部屋にしょう。庭もあるといいなぁ」と勝手な事を話して、大いに照れていたN君でした。