先輩

 ある日、N君が教室に訪ねてきた。N君は小学2年生から高校3年生まで教室に通って来ていた。
中学3年生の時は、高校受験に向けて勉強に煮詰まると、こちらのテーマなど完全無視、教室でひたすら漫画を描いていた。
ストーリーも中々。高校に進学しても教室を持続、熱心に漫画制作にいそしみ、ついに好きこそものの上手なれで大学は漫画の専門大学に入学。
それからはさっぱり音沙汰がなくなったのだが、先日ふいに訪ねてきた。
大学を卒業して、就職をしたとの嬉しい報告。漫画道とは少し外れるが、あながち無関係でもないテレビ関係だという。
その日は、丁度3・4年生の子達のおけいこ中。懐かしそうに見学していたN君は、自由クラブが始まると、自作の漫画をやおら取り出して見せてくれた。
さすが、教室に長く通ってきていただけあって、出すタイミング抜群。
「すごーい」「うまーい」子ども達から大歓声。



ため息まじりに見る子ども達、N君を尊敬のまなざしで見る子ども達の表情が活き活きしていた。
中には、漫画について中々の鋭い批評も!
おけいこが終わっても中々帰ろうとしない子ども達の目には、N君はどんなふうに映ったのだろうか?
N君は、自分の作品を見る子ども達の率直な意見に、ひとしきり感動していた。
なんだか、とっても楽しい嬉しいひと時だった。